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遠い太鼓 [PW] [book]

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こちら、著者が80年代後半に南欧に住んでいたころのエッセイです。

その意味では、紀行文というよりむしろ滞在記に近く、

その分、日々の生活感がより強く感じられます。




本作は、500ページを超える分量がありますが、こちらにも書いたように、

通しで完読すればもちろんのこと、それぞれのパートを流すだけでも、

その土地土地の空気感に包まれることができます。




また、著者は、「ノルウェイの森」や「ダンス・ダンス・ダンス」をこの滞在中に書いています。

なぜ、これらの作品を日本ではなく、この地で書かなくてはならなかったのか、についても、

本作の中でも示唆があるのですが、結果として、これら作品と当時の日本の空気感の間の

乖離が、本作を通じて、ある意味、必然であることがわかるのも興味深いところです。
















遠い太鼓 (講談社文庫)

遠い太鼓 (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1993/04/05
  • メディア: 文庫








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