フェデリコ・カルパッチョの極上の憂鬱 [PW] [book]
この実に酒脱で、小気味よくて、かつスノッブなエッセイを書く、
フェデリコ・カルパッチョなる人物が実在するかをずっと悩んでおりました。
この日本人を外から見る視点と、ラテン的発想・気質は、
やはり、文中にもあるように生粋のトスカーナ人であるとも思う一方で、
訳者の木暮修さんが、彼のイタリア語で書かれたエッセイを翻訳していることに
なっているわけですが、日本語の韻を踏みまくった訳文に対して、これって
外国語では書きようはないよなと思ったり、
いやいや、この訳者との遣り取りの細やか過ぎる設定は、
とても一人二役は難しいぞとも思ったり。
謎は深まりながらも、まあ、楽しく拝見していた訳です。
フェデリコ・カルパッチョ氏は、この本と、「- の優雅な倦怠」、「- の旅は微笑む」
の3作を残して、すっかり表舞台から消えてしまっています。
木暮さんがお亡くなりになった今、いずれにしても真偽の程は確かめようは
ありませんが、いずれにしても、イタリアンワインなりビールなりを片手に
ひとりニヤニヤした時間を過ごすには、素敵な本を残してくれたと思います。
➣ My Favorite Things